課長の独占欲が強すぎです。
・蒼い傷
*7・蒼い傷*
10月のある日。
私は広報部から届けられた刷り上ったばかりの販促用ポスターをマジマジと眺めていた。
大型の紙面に躍る文字は『レジーナ12月号』。そしてゴシックのフォントで『続々! 2016新連載大発表!!』と大きく書かれている。
「何見てんの、橘さん」
「あ……東主任」
ボケッとしていたら、いつの間にか後ろに立っていた東さんが声を掛けてきた。
「すみません、広報から届いたんで今渡しに行こうかと」
「ああ、『レジーナ』の新しいポスターね」
手に持っていたポスターを他の販促物といっしょにまとめようとして、私はふと手を止める。
「あの……。この新連載って、例の有栖川栞のですよね?」
ぶしつけに聞いてしまったけれど、東さんはポスターと私の顔を少しだけ窺ってから「そうだよ」と答えた。