課長の独占欲が強すぎです。
「……和泉さん」
そっとドアを開けて呼びかければ、ソファーに座っていた和泉さんが振り返ってこちらを見やる。
「なんだ、目が覚めたのか」
「うん」
スリッパをペタペタと鳴らしながら彼の元へ小走りで近付けば、読書の途中だった事が分かった。
テーブルの上にはウイスキーの注がれたロックグラスとタッセルタイプのブックマーカー。そして手には……有栖川栞の小説。
「お前も何か飲むか?」
こちらに向かって尋ねた和泉さんに、私は無言のまま首を横に振る。
そして、そのまま彼の隣に寄り添うようにと腰を下ろした。