課長の独占欲が強すぎです。
「寒いのか?」
いつも和泉さんが読書をしてる時は邪魔にならないよう対角上に座る私が、こんな風にくっついて来る事が珍しいのだろう。
和泉さんはちょっと不思議そうな顔をして、片手で私を抱き寄せた。
その大きな手に甘えて、寄り添わせていた身体を無理に和泉さんの膝の上に滑り込ませる。
「小夏?」
親に甘える子供、はたまた読書の邪魔をする猫かもしれない。膝の上に座って彼の懐に背中を預ける私はさぞかしうっとおしいだろう。
けれど、和泉さんは手にしていた本を置き眼鏡を外すと私を抱きかかえるように腰に手を回した。
「今日は甘えたい気分か?」
私の頭に顔を寄せて話す声は優しい。包んでくれる身体は温かくて、大きな手はとっても安心する。
なのにどうして。