課長の独占欲が強すぎです。
・その後悔は、恋
*8・その後悔は、恋*
整理を付けたはずの気持ちに小さな不安の予感をひとつ残したまま日々を過ごしていた、そんなある日。
「おはようございまーす」
いつものようにフロアに入っていくと、何やら数人のメンバーがデスクに集って話をしていた。
「あ、橘さん」
「おはようございます。何かあったんですか?」
軽く尋ねた私に、そこにいた皆が口をつぐんで顔を見合わせる。そして、1番年配の牧田さんが躊躇いを含んだ様子でこちらを向いた。
「橘さんさ、宍尾課長から何か聞いてない?」
「宍尾さんから? 何がですか?」
「その……課長の異動の話とか」
「え?」
真剣な顔で瞠目してしまった私を見て、皆の表情が「しまった」と言わんばかりのものに変わった。