課長の独占欲が強すぎです。

「なんで!? 和泉さんはもう営業の人でしょう! もう有栖川さんには関係ないじゃない!」

 考える間もなく声を荒げてしまった私に、先輩たちが思いきり驚きをあらわにした。その様子を見てハッと我に返り自分の行動を恥じる。

「すみません……」

「いや、大丈夫だよ。それに俺たちも橘さんの気持ち分かるよ」

 頭を下げた私に、牧田さんが困ったように眉を顰めながらも口角を上げて笑い掛けた。

「俺も古い人間だから宍尾さんの一件は知ってるからさ。有栖川さんには悪いけど今更何言ってるんだって思うよ。それに宍尾さんは今や営業課になくちゃならない人だしね。有栖川さんに大事な課長を渡したくないってのが本音だよ」

 その言葉に、そこに居た先輩たちも皆うんうんと頷く。

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