課長の独占欲が強すぎです。
和泉さんにとっていい事尽くめに違いない話を、どうして私はこんなに喜べないんだろう。
答えは分かり切っているのに何度も自分に問い掛けてしまう。
単純に、嫉妬だ。私は和泉さんと有栖川さんの関係に妬いている。
恋仲ではない、けれど1度は酷く傷つけた和泉さんをまた自分の手元に置こうとしている有栖川さんを快くは思えない。
そしてまた、自分を傷付けた彼女を悪く思っていないどころか和泉さんは未だに気に掛けているように思えて。
瞼を閉じれば、あの夜に見たデスクに重ねられた有栖川栞の本の山を思い出す。
恋仲じゃない。けれど、ふたりの間に強い繋がりを感じてしまうのもきっと間違いじゃない。
——私は、有栖川栞に和泉さんを渡したくないんだ。