課長の独占欲が強すぎです。
「……苦しい……」
「無理して麺全部食べるから。ほら、お水」
ラーメン屋を出た後、私たちは会社の前の公園にやって来た。
広場前のベンチに座り、常備薬の胃薬を杏子ちゃんが買ってきてくれたお水で飲み下す。
不味い顆粒が喉の奥に落ちていくと目元に勝手に涙が浮かんだ。
「杏子ちゃん。私、和泉さんに相応しくないかもしんない」
涙目になりながら真剣に言ったと云うのに、杏子ちゃんは私の言葉を聞いてなんと吹き出すではないか。
「あっははは。あの課長さんに相応しいのってむしろどんな人よ? おんなじような2メートル級? それとも課長さんに負けないくらい大喰らい?」
杏子ちゃんは可笑しそうに笑って言ったけど、私がうなだれて呟いた「……有栖川栞みたいな人」と呟いた声に、ピタリと笑うのを止めた。