課長の独占欲が強すぎです。
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「まだ腹が痛いのか?」
夜になり彼の部屋へ訪れたものの、ずっと暗い顔をしている私を気にして和泉さんが声を掛ける。
食事にもあまり手を付けられず、ベッドへ誘われても気乗りしない顔をしてしまったんだから心配されて当然だ。
申し訳なく思いつつ顔を俯かせると、パジャマを脱がし掛けていた和泉さんの手が止まり私を労わるように抱き寄せる。
いつもはこちらの抵抗もお構いなしな強引さなのに、こういう時は絶対無理をさせないのが和泉さんらしい。
そんな彼が好きでたまらないと云う想いが、複雑な感情と絡み合って私の心を締め付けていた。
「……おなかはもう痛くないです。でも、ずっと胸が痛いんです」
私の言葉を聞いた和泉さんが、怪訝そうな顔をして視線を向ける。
「和泉さん、編集部へ行っちゃうんですか?」
広い胸に縋りつくようにパジャマをギュッと握りしめながら、私はついに抱え切れない不安を口にした。