課長の独占欲が強すぎです。
「本当か、小夏」
切れ上がった目をまんまるく見開いて聞いた和泉さんに、私ははにかんでコクリと頷く。
まるで時が止まってしまったみたいにしばらく動きを止めた和泉さんは、やがてギュウッと口角を上げ喜びを噛みしめるように破顔させると、大きな両手で私の身体を高々と抱き上げた。
「そうか! 出来たか! ははは、最高だ小夏!」
「い、和泉さん下ろして!」
まるで子供を高い高いするように抱き上げた私を、和泉さんは今度は胸に抱きとめ、くるくると踊るように振り回す。
「喜びすぎです! 和泉さん!」
「これが喜ばずにいられるか!」
喜ぶとは思っていたけど、これは想像以上だ。
あまりのはしゃぎぶり道行く人たちまで注目し始めて、私は赤面しながら「和泉さん、落着いて〜」となだめたけれど、和泉さんの喜びようはなかなか収まらなかった。