課長の独占欲が強すぎです。
帰り道でようやく和泉さんは落ち着きを取り戻したけれど。
「小夏、おぶってやると言ってるだろう。転んだらどうする」
「何言ってるんですか。そんな事言ったら私歩けなくなっちゃうじゃないですか。和泉さん、子供が生まれるまで私をずっとおぶって生活する気ですか?」
「外を歩く時はそのつもりだ。荷物もお前は持つな。箸より重いものを持つのは俺が許さん」
この過保護ぶりである。尋常じゃない。
これから先が思いやられるなあと苦笑しながらも、私はこの愛され方が嬉しくてたまらない。
人並みはずれた大きな身体と、それ以上に大きな愛。
いつだって私を丸ごと包容する大きな彼は、これからは私と子供を包み込んでいくのだろう。
大きな大きな幸せで。
桜の花弁が舞う河川敷の道、月明かりに照らされた小さな私の影と大きな和泉さんの影が、仲良く寄り添って伸びていた。
*終わり*