課長の独占欲が強すぎです。
番外編・ころりころげてフォーリン・ラブ

【番外編・ころりころげてフォーリン・ラブ*side和泉*】


「和泉ってば。男の子が可愛いもの好きだなんて変よ」

 ぬいぐるみで遊んでいた5歳だった俺に、みっつ年上の従姉は言った。

 まだその頃はナリも人並みで、むしろ女児と間違えられるような顔立ちをしていた俺は、近所に住む伯父の家に行く度に従姉のぬいぐるみで遊ぶのを楽しみにしていた。

 その頃はどうして自分はぬいぐるみを買ってもらえないのか理解出来ず、手触りのいいクマやクリクリとした目の犬、それに柔らかいウサギなんかがうらやましくて仕方なかった。

 なにかと年上風を吹かせたがる従姉の紗枝に、俺は頬を膨らませ反抗的な表情を見せたのを覚えている。

「ウソだ。そんな事ないぞ」

「ウソじゃないわよ。だって可愛い小物やお洋服はみんなデパートの女の子用の売り場にあるでしょ? 可愛いものはみんな女の子のものなの」

「ウソつき。じゃあなんで男は可愛い女の子を好きになるんだ?」

「そ! それは……」

 俺の投げ掛けた質問に、紗枝は結局答えられなかった。

 それは、あれから28年経った今でも同じ。尤も、俺と同じく高身長の祖父の血を引く紗枝は“可愛い女の子”なんてガラではないので、可愛いものを好む男の気持ちなんざ益々理解出来ないのだろうけど。

 
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