課長の独占欲が強すぎです。
だが、身体がグングン大きくなり見た目も性格もどんどん男らしくなっていった10歳頃から、可愛いものは自然と俺から遠ざかっていくようになった。
小6の時、通学班で初めて顔を合わせた1年生に『恐い』と泣かれた。
中1の時、アヒルの世話がしたくて飼育委員になりたかったのに、背が高いという理由で満場一致の掲示委員にされた。
中2の時、人懐っこい事で有名な公園の野良猫が俺にだけ威嚇してきた。
どうもこの世の中は恐いものと可愛いものの相性は良くないらしいと、中3の俺はようやっと気がつく。
「紗枝。でかいとか恐いは損だな」
ある日、伯父の家でそう零した俺に従姉は
「同感」
と溜息を吐きながら、己の176センチの身長を嘆いた。