課長の独占欲が強すぎです。
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「なあ、和泉。こないだの飲み会に来てたM大の女子がお前の連絡先知りたがってたんだけど、教えていいか?」
ひまわり出版からの内定も出て、卒業を間近に控えた大学4年の冬。気心の知れた仲間との宅呑みで、友人のひとりがそんな事を言い出した。
「駄目だ、断れ」
にべもなく断ると、そいつを始めとする友人たちが苦笑する。
「もう就活も卒論も終わったんだし、和泉もそろそろ彼女作ってもいいんじゃねーの?」
「すぐに社会人生活が始まるだろうが。待望の出版社勤務だ、女にかまけてる余裕なんかあるか」
俺の答えに隣に座っていた長年の友人・悟志が肩を竦めて笑った。
「これだよ。ほんっとお前って不器用っていうか一途過ぎるっていうか」
呆れたように言われ、俺は不機嫌に口の端を引き結ぶ。別におかしい事ではないだろうに。
大学での授業やサークルより、就職活動より卒論より、そして新しく始まる社会人生活より夢中になれる女がいないんだから仕方ないだけだ。