課長の独占欲が強すぎです。
美味しくてホコホコとした笑顔になっていると、角を挟んで隣に座っている宍尾さんが私の前に牛肉の八幡巻きのお皿を置きながら声を掛けてきた。
「そんなものばっかり食ってるからお前は転がるほど軽いんだ。もっと肉を食え」
……ひ……ひどーい!!
ショックであやうく手に持っていた箸を落としそうになってしまった。だって、あまりにもデリカシーがなさすぎる! 体型のことは気にしてるのに、いつもはお肉だってご飯だって頑張って食べてるのに。好き嫌いしてこんな痩せぎすになってるワケじゃないのに、好きなものを食べてるだけで何でそんな事言われなきゃならないの!?
悔しくて口をへの字に曲げてしまった私を見て、先に雰囲気を察したのは東さんだった。
「し、宍尾さん! ダメですよ女の子にそんな事言っちゃあ! セクハラに——」
けれど私は東さんが言い終わる前に、キッと宍尾さんを強く見据えて口を開く。もう黙っていられない!
「痩せっぽっちなのもチビなのも分かってます! 課長みたいにでっかい人には分からないかもしれないけど、頑張ったって大きくなれない人もいるんです! 何食べたって無理なモノは無理なんだから放っといて下さい!」