課長の独占欲が強すぎです。
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「大丈夫か」
「らーいじょーぶれーす」
「体調は平気か」
「じぇっこーちょーれーす」
宍尾さんの気遣う言葉に、私は酔っ払い特有の舐めくさった言語を飄々と返していた…………彼の背におんぶされながら。
足までフラフラな私は助けてもらわなくてはひとりで歩くことも出来なくって、かと云って肩を貸してもらうには宍尾さんとの身長差はありすぎるので、その結果25歳にもなっておんぶされると云う超絶赤っ恥体験のメモリアルを更新してしまう事態となった。もっとも、酔っ払い中はそんな事ちっとも気にしてないんだけど。
安心感はたっぷりだけど、脚をまわすにはちょっと不便な広すぎる背中。けれど、大きな手はしっかりと、それでいて気遣うように優しく腿を抱えてくれていたので、私はゆったりと身体を宍尾さんに預ける。
じんわり伝わる熱が、大きな手の温かさが、少し肌寒い夜の空気と混ざって気持ち好い。
時折夜風が吹いては川原の桜並木が揺れて、舞い散る花弁が私たちに雪のように降り注いだ。