課長の独占欲が強すぎです。
心配そうな声を上げると、東さんは大きな目を1度瞬きさせてから悩ましい表情を「ふふっ」と笑い声と共に綻ばせる。
「キャンペーンのことなら上手くいってるよ。フレンド書店も図書堂も大々的に展開してくれるって」
「え? でも今、ライバルって……」
どういう事か分からなくて首を傾げてしまった私に、東さんは手を伸ばしてポンポンと頭を撫でると
「まあ見ててよ」
と、ますます意味の分からない事を言って立ち去ってしまった。
廊下を歩いていく東さんのスーツの背中には、桜の下を通ってきたのか花弁が数枚着いていて。
それを見て私は、もう桜の季節も終わりだなあなんて季節の移り変わりを感じていた。