課長の独占欲が強すぎです。

 ***

 私が少女漫画部門に配属されもうすぐ一ヶ月が経つ。門出を彩っていた桜はすっかり緑の葉でいっぱいになり、春から初夏へと季節は変わろうとしていた。

 そしてそれは、慌しい毎日に少し疲れてきた社会人たちへ慈悲ある休息が近い事をも教えてくれている。

 そう、来週からはいよいよ5連休。ゴールデンウィークが始まるのだ。

 一泊ではあるけれど家族と温泉旅行を計画している私は、早く安らぎの檜風呂に浸かりたいと、連休を心から待ち遠しく思っていた。
 
 ただし、カレンダー通りの休みを取る出版社は連休の前は怒涛の忙しさになるのだけども。


 連休まであと数日の出勤日。私は各書店の納品確認や連休明けの受発注に追われていた。

「馬鹿野郎! 『キラりん☆GWフェア』やってるのにコミックの在庫がそれだけで間に合う筈ないだろうが! 今すぐ追加で降ろせるか問い合わせて来い!」

「はいいっ!!」

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