課長の独占欲が強すぎです。

 慌しいフロアに宍尾課長の怒声と営業社員のおののく声が響く。宍尾さんは別に怒りっぽい訳では無いのだけど、元からの声が太くて威圧的なせいか物凄い迫力だ。

 1ヵ月近く経ってようやく少し慣れてきたけれど、やっぱり地鳴りのような大声を聞くと一瞬竦んでしまう。

 その声で『キラりん☆GWフェア』とか『届け胸キュンキャンペーン』なんて言ってるのを聞くと吹き出しそうになってしまうけども。
 
 とにかく、そんな騒々しい時間もあっと言う間に過ぎ、時計の針はお昼の12時を回った。
 
「あーやっと昼だ〜」

 そんな声を疲れと一緒に吐き出しながら、フロアで仕事をしていた人達がゾロゾロと外へと出て行く。

 ここは営業課なので当然お昼も一律ではない。外回りに行っていれば出先で済ませるのが普通なので、基本、フロアにいる人達だけで食事に行くのがほとんどなのだ。

 例えば、今日は朝から東主任がいない。ずっと得意先を駆け回ってるようだ。他にも戻っていない人が多く、フロアに残っていた宍尾さんと3人ほどのメンバーがいつものように『モーリー』へと行こうとしていた。けれど。

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