課長の独占欲が強すぎです。
「どうした橘。昼飯に行かないのか」
自分のデスクから立ち上がろうとしない私を見つけて、宍尾さんが声を掛けてきた。
「はい。実はGWに一泊旅行に行くのでお金節約しようと思って、今日はお弁当なんです」
そう答えて、私はウサギモチーフの着いたランチバッグをチョコンとデスクの上に置いて見せる。
ここに移動してからみんなと一緒に『モーリー』で食べる事が多くなっちゃったけど、以前はよくお弁当を持って来たりもしてたのだ。
フロアにある応接スペースで食べようと思い椅子から立ち上がると、私はまだ隣に立っていた宍尾さんに声を掛ける。
「どうぞ、お気になさらず『モーリー』に行って来て下さい。みんな行っちゃいましたよ?」
それは至って普通の発言で、私はたまにはのんびり一人でランチもいいな、なんて考えていたんだけど。
「分かった。俺も今日はここで食べよう」
「は!?」
何がいったいどういうワケか、宍尾さんは摩訶不思議なことを言い出した。