課長の独占欲が強すぎです。
「えー。まだ和泉さんの恋バナ聞いてないじゃないですかあ」
ポテトをモグモグと咀嚼しながら私もあわてて立ち上がり、トレーを片しに行った彼のあとを追う。
「それはまた今度な」
上機嫌そうに言った和泉さんはいつもように大きな手でポンポンと頭を撫でてきて、私はふとさっきの話を思い出した。
この大きな手でバスケットボールを持って青春してたんだなあ、なんて思うと高校時代の彼の姿がありありと思い浮かんで、なんだかくすぐったい。
——今と変わらず何にでも全力投球していた学生時代の和泉さん。もしもその頃に彼と出会ってても、私はきっと恋をした。
学生だらけの店内で、制服姿の和泉さんと並んで歩く自分を想像し、たまには昔の話に浸るのもいいな、なんて幸福に肩を竦めて笑った。
【おしまい】