課長の独占欲が強すぎです。
「な……何言ってるんですかぁ。いきなりこんな事して、意味分かんない。ヒドすぎる……っ」
さっきからの緊張と恐怖と混乱で、ついに涙腺は限界を向かえ決壊した。だってあまりにもヒドい。過干渉したあげく目茶苦茶な理由でキスまでして。私まだ人生で1度しかキスしたこと無かったのに。
ボロボロと涙を零すと、明らかに宍尾さんの顔色が変わった。これでもかと云うぐらい眉間に皺を寄せ、苦虫を噛み潰したような表情を浮かべている。
「泣くやつがあるか、子供じゃあるまいし。泣き止め」
「何ですかその言い草、自分が泣かせたクセに〜」
全く反省の色が覗えない彼の言葉に、ますます泣けてきてしまう。本当になんてヒドい男だ。
ヒックヒックとしゃくりあげながら涙を拭っていると、宍尾さんはそれでも私を腕から逃がさないまま大きく溜息を吐く。
その時だった。ふたりきりだったフロアの扉が開かれ「課長、まだ残ってるんですか?」の声と共に東さんが入ってきたのは。