課長の独占欲が強すぎです。

***

 そうして迎えた当日。三段重のお弁当を見たお母さんの『あら、大勢でピクニック行くの?』なんて声に見送られながら、私は待ち合わせの駅へと向かった。

 平日とは違って私服姿の若者や家族連れで賑わう駅。そんな光景にしみじみと連休を感じてロータリーに立っていると、目の前にシルバーグレーのSUV車が停まる。

 見ていると運転席が開き、でーんと効果音の着きそうな大きな身体が降りて来た。

「おはようございます」

「ああ。荷物は後ろに乗せろ」

 プライベートでも宍尾さんは変わらず威圧的だけど、今日の姿に私は心の中で「ほう」と感心を零してしまった。

 トリコロールラインの入った白のボタンダウンシャツにベージュのチノパンと云う出で立ちの宍尾さん。シャツはショート丈の七分袖で全体的にタイトなシルエットだ。

 するとどうだろう。スーツ姿ではそこまで気がつかなかった彼のスタイルの良さが如何なく発揮され、それは思わず私に(う……カッコイイじゃないか)とたじろがせてしまう程だった。

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