課長の独占欲が強すぎです。

***

 果たしてデートは上手く行ってるのだろうか。

 やたら見てきたり甘えられたりするものの、時々呆れたように難しい顔をされて溜息を吐かれるのが引っ掛かっていた。

 私の和泉さんに対する好感度はわりかし上がって来ているのだけど、向こうは幻滅していて、もしかして2度めのデートは無いかもしれないな。なんて、気持ちが沈むような事まで考えてしまった。

 昼食後、少しだけ重くなった足取りで向かったのはフィッシングコーナー。家族向け・初心者向けのスペースは入り江に作られた人工的な池に魚が放流されていて、釣竿もレンタルしている。餌も虫だったらどうしようと思ったけれど、小さな海老だったので安心だ。

 備え付けられてる椅子に座り和泉さんに教えてもらいながら釣り糸を垂らせば、すぐに竿を引く手応えが感じられた。

「わ、わ、なんか来た! どうしよう!」

「落ち着け、無理に引っ張るな」

 そう言われたのに焦って竿を引き上げてしまい、弾けるような手応えのあと魚は針を外し逃げてしまった。

「ああ、残念……すみません」

 また呆れられちゃうかなとションボリ肩を落としてしまう。

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