ほろ苦キャラメルマキアート ~コーヒーの香りに誘われて~
「お邪魔します......」
ドアを開けるとカラン、という音が鳴った。
へー...シンプルだけどオシャレな店だなー...。
とりあえずカウンターの席に座った。
ど、どうすればいいんだろう......。
───...コトン
すると、目の前にカップが置かれた。
この甘い香り......
「キャラメルマキアート...?」
1度ファミレスで飲んで、気に入ったのを思い出した。
「それ、俺の奢りだから」
表情を変えずにそう言う彼。
ああ、なんか、ヤバイかも......。
「...いただき..っます......」
再び溢れてきた涙を無視してキャラメルマキアートを一口飲んだ。
ファミレスで飲んだものとは少し違って、ほろ苦くて、涙のしょっぱい味がして、優しい味がした。