ホタルビ
ぶちぶち
「あ~~~!!もう、最悪最悪最悪!!」
ぶちぶち
「何で、先生は私を舞台にあげてくれないんだっての!もう2年も経つのに・・・」
ぶちぶち
「・・・あーあ、もうバレエやめちゃおっかなぁ。いつまでも隅っこで練習なんてやってらんないよ。」
頭の血管が切れた音でもなく、堪忍袋の緒が切れた音でもなく、河原に生えている雑草を引っこ抜く音をたてながら、私は大の字になって草の布団に倒れこんだ。
私、杉山真希(すぎやま まき)は中学1年生の、バレエ修行中の身。いつまでたっても舞台にあげてもらえないから、不満が溜まってしょうがない。
発表会の「白鳥の湖」のキャストに選ばれなかった私は、まるで逃げるようにバレエの練習が終わった後、この河原にやってきた。
「あんた達はいーよねー。ただ光って飛んでるだけで綺麗って言われてさ。」
目の前にふわふわと光りながら浮遊している物体に向かってついついグチってしまう。