ホタルビ
「・・・一体何が足りないっていうの?・・・わかんない、わかんないよ。」
膝を抱えて、よくある落ち込んだポーズを取る。先生にキャストに選ばれなかった理由を聞くと、
「真希には足りないものがある。それが何かは自分で考えなさい。これは自分で気付かないと意味のないことだから。」
ちっとも答えになってない答えをもらってしまった。
「自分で考えろって言われたって、わからないから聞いてるのに・・・」
泣きそうになる。ごしごしと目をこすって、無理矢理涙を目の奥に引っ込めた。
空を見上げる。今日は曇りだからか、あまり星は見えなかった。真っ黒の中にほんの小さな光がポツリポツリと見えるだけ。
今にも消えてしまいそうな細い細い光は、まるで私自身の心の光に思えた。
その時、サクリと草を踏む音が聞こえた。音のした方に顔を向けると、
「真希、やっぱりここに居たんだ。」
「・・・真理お姉ちゃん。」
私のお姉ちゃんが立っていた。