みじかいにもほどがあるっ!-春夏秋冬-


「あっわたし。飲めないので!」




新社会人のわたしは上手く断れないでいた。



「またまたー!今日は歓迎会なんだからどんどん飲んでよ!」



先輩に注がれ、どうしていいかわからない。




えーい!やっぱり飲むしかないか。



そのとき



ひょいっ



「無理しなくていいから。」



隣に座った同期の彼が一気に飲む。




「かっこいー!」



お酒を注いだ先輩が笑いながら言う。



「俺、酒豪なんで彼女の分も飲んでやろうかと!」


「横取りしただけかい!!」



彼と先輩の掛け合いに笑いがおこった。





お礼言わなくちゃ!




気づくと彼はいなくて。




私も彼を探しに抜ける。



お手洗いかな?



行く途中で桜を見上げる彼を見つけた。





「あの。さっきはありがとう!」




彼は私のほうを見る。



「飲めないんだからきちんと断れよな。」



微笑しながら言う彼。


「ごめんね。」


急に笑い出す彼。



「昔と同じすぎてうける。」



このようなことは前にもあった。




大学1年のサークルのとき。




「あのときも助けてもらったね。」



彼が口に手を入れて何かを取り出した。



「見て。これも一緒。」




それはサクラで。




2人で大笑いした。



「またビールにサクラ入ってんの気づかなかったし。」



あれ?



前みたいに話せてる。





あなたはどう思ってるのかな?




わたしはあなたのこと考えない日はなかった。




彼とは1年もしないうちに自然消滅しちゃったけど諦めないでいいかな?



こんなに偶然が重なるのだから。



綺麗なサクラ吹雪を受けながらサクラの木に聞いてみた。






~サクラビール END ~

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