太陽と誠
 すると姉はイライラした顔で俺に文句を言ってきた。
「さっきからそればっかり!ちゃんと考えてよ!」
 他人のことなど御構い無しに姉は大声で怒鳴った。通りゆく人、店の店員までこちらを見ている。
 もし今日が晴れていたら、今の何十倍もの視線が俺たちに当たっていただろうと考えるとゾッとする。
 俺がそんなことを考えいるとは露知らず、姉は更に続ける。
「人の話聞いてるの?折角私が選択肢を絞っているんだから、どっちか選んでよ!」
 身長の低い姉がグッと二つのカップを俺の顔に近づける。
 俺は溜め息をついて姉の足元の買い物かごを見た。今日は俺の生活用品を買うためにここに来たのだか、何故か姉は俺の選ぶものにケチを付ける。
 茶碗を選べば無地は駄目だと言い、歯磨きを選べば明るい色が良いと言う。挙げ句の果てに、まーくんの買うもの選んであげる、と言ってきた。
 俺は小学生か!四月から高校生だぞ!剥かしと違うんだよ!
 そう声を大にして姉に言えたらどれだけ楽になるだろう。 
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