私は何を信じればいいですか?
もう笑うしかないって。
「別に礼央に怒ってるわけでもない。私的な理由だから」
ああ、あと。
希尋が私にまた手を伸ばす。
思わず頬っぺたを庇った私に笑って、希尋はぐしゃりと頭をなでる。
「礼央のこと、嫌に思ったわけでもないから」
ああ、なんで希尋は。
こんなにも私のことがわかるのだろう。
「ちょ、髪の毛ぐしゃぐしゃなんだけど!」
どうして希尋の前だと、上手く笑えないのだろう。
いつも、泣きそうになるのは。
何で?
希尋といると、仮面も偽りも何もかも剥がれて。
真っさらになってしまうんだ。
「ふっ、直して欲しい?」
「別に自分で直せるし!」
なんか、自分が意地っ張りの子供みたいだ。
私も周りよりは大人びてるつもりだったけど。
希尋が大人過ぎるというか何というか。
「全然直せてないけど?」
手櫛なのに、希尋は綺麗に髪を整える。
料理の時も思ったけど、器用だよね。
「………髪、伸びたね…」
「?ごめん、なんて?」
「別に、何でもない」
ふーん。
変な希尋。
その後希尋は勝手に私の髪で遊び(本当、無駄に器用だ)。
あいつらが待っているからと、帰っていった。