私は何を信じればいいですか?

お互いに、マスターとか学生とか呼び合っていたのだからしょうがないけど。

私が高校って言ったのも最近だし。

「それは確かに」

手をポンっと叩いて頷くマスターは、少しアホの子なのだと思う。

「俺は隆都。で、お前は?」

「……礼央」

「その一瞬の間は何だよ!」

「いや、隆都さんに名前教えても大丈夫かなって」

「大丈夫だよ⁉︎俺、悪用なんかしないよ!」

「ははっ」

うん、ナイスな突っ込みをありがとう。

とっても面白かったです。

「……で?礼央はいつものでいーの?」

「いつものでお願いします」

鼻歌を歌いながら、手際良くそれを作る。

私はその時、「でも高校生かぁ……いいな……」と呟いたのを聞き逃さなかったよ。

どうしよう。

やっぱ名前教えたの後悔してきたよ。

取り敢えず、ジト目で隆都さんを見るけど。

「はい。出来上が……り」

私の目を見た瞬間、隆都さんがピシッと背筋を伸ばす。

曰く、「礼央が怖い」。

女子高生の睨みでビビるってどんだけ。

でも、隆都さんは喧嘩が強いはず。

確か、ナントカって言う暴走族の総長だった………らしい。

詳しくはあんま覚えてないけど。

「礼央はいっつもそれだよな」

隆都さんが言うのは、私が頼んだオムライスのこと。

「だって、なんか懐かしい味がするんだもん」

そう言うと、隆都さんの動きがピタッと止まった。

「そうか?」

「うん」





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