私は何を信じればいいですか?
明るい店から出れば、そこは薄暗い路地裏。
危険がいっぱい潜むところ。
「ねぇ、君。俺たちと遊ばない?」
「…………」
「ねぇってば?」
肩に触れた手を、私は問答無用でひねりあげた。
「触らないで」
「……っこの、野郎……!」
野郎じゃないし。
フードを被っていたから男に見えたのかな。
いや、ナンパをしてきたしそれはないか。
弱いくせに、鬱陶しい。
でも、このムシャクシャする気分をどうにかするには、丁度良かった。
「いいよ、かかって来なよ」
「舐めんじゃねぇよ」
女1人に男数人でかかってくるなんて、たかが知れてる。
「弱……手応えなさ過ぎでしょ……」
ムシャクシャする気分は、まだ治らない。
足りない。
足元に横たわる人影を、思いっきり蹴り上げる。
もうそれは、気を失っていて。
それ以上やってはいけないこと位、分かってる。
わかってるけど、足が止まらない。
「止めてよ……止めて……っ」
誰か、私を止めてよ。
誰か。
「礼央……?」
止まった。
「……あ…」
私を止めた人物、希尋は転がる人影を一瞥すると、私の腕を引っ張る。
「死んでないし、大丈夫でしょ」
そう、あっさり言って。
「行こ?ここはあんま良くないし」
「希……尋……」
なんで、希尋がここに?
「うん?」
行くってどこに?
全ては声にならず、私の中でぐるぐると回る。