私は何を信じればいいですか?
「ん?」
さらにぎゅーっと抱き締める希尋。
「き、希尋!」
「何?照れてんの?」
耳にかかる吐息がくすぐったくて、身をよじる。
「ちょ…っ」
「以外と、初なんだ?」
「う、ううるさい!離してよっ」
ぐいっと希尋の胸を押して、何とか離れる。
俯いた私の顔は、きっと真っ赤。
「……怒った?」
「……別に」
「俺はさっきの仕返しだったんだけど」
「うっ………」
言外に自業自得デスネーという含みを感じるんですけど!
まあ、それはそうかもしれないけど!
「ずるい!」
「……はっ?」
「だって、希尋なんかいい匂いするし、何か色っぽいし。とにかくずるいよ!」
「……はあ、そう」
呆れて溜息をつく希尋。
私は唇を尖らせる。
本当に、不公平なのだ。
私は色気皆無だし。
もっと言えば、女子らしさゼロだし。
そんな女に、あんなことされて対抗できるわけが無い。
せめても上目遣いで睨んでみれば、
「生意気」
と、デコピンを食らった。
「ほら、さっさと下行くよ」
ツカツカと歩いて行ってしまう希尋を、慌てて追いかける。