私は何を信じればいいですか?
無感情、笑顔
結城礼央が、高峰沙由里をイジメて姫を降ろされた。
その噂は、瞬く間に生徒に広まった。
こっそりと行われてきたイジメも、今や堂々と行われる。
体育の授業では、誰も私と組まない。
トイレに行けば水をかけられる。
私が通るたびに嫌味を言われ、足をわざと出される。
弁当は全てひっくり返され、パンは踏み潰された。
机は落書きだらけだし、教科書もボロボロ。
下駄箱は何が入っているかわからないから、開けないようにしている。
でも、それらに私は一切反応しない。
逆に、にっこりと笑ってみせる。
『ヘラヘラすんな、気持ち悪い!』
そう言って殴られるけど、私は何もしない。
したって、ただの無駄。
余計イジメがエスカレートするだけ。
何を言っても、誰も信じてくれないんだから。
ただ、受け身でいる。
私は、反抗することに、信じてと叫ぶことに疲れたんだ。
毎日、何度も呼び出され、その度に殴られて蹴られて。
体中痣だらけで、ボロボロになって家に帰る。
そんな日々が、ずっと続く。
そろそろ、ヤバいと思った。
肌の、正常な部分が少なくなっている。
それでも、呼び出しは止まらない。
「結城礼央。あんた、ちょっと来なさい」
歩くたびに、全身が痛い。
校舎裏に着いた時には、もう崩折れそうだった。