「離れるの禁止って、言ったよね……っ」



あれ、おかしいな。

いつもなら適当に流してるはずなのに。



なんで今日はこんなにつっかかる?



「…………馬鹿だろ」


『伊織くんが好きなだけです』



こうやって一途に想ってくれる、そう捉えればオレは幸せ者だよな。

でも、オレを好きになる理由なんて“あの一日”だろ?



だったら、オレじゃなくてもいいだろ。



お前にぴったりな、笑って明るい奴好きになれよ。

オレみたいな奴に笑うなよ。



もう………



積もっていっては消えない言葉はどんどんたまって、

いつかは口に出してしまうんじゃないか、なんて、

どうでも良かった。





< 16 / 32 >

この作品をシェア

pagetop