「離れるの禁止って、言ったよね……っ」
……とにかく走って。
なんとなくアイツの通学路まで走っていって。
天気の悪い、空の暗い今を、
ただひたすらアイツの背中だけを探した。
人気の少ない、まるであの日のような“今日”を。
「………………っ、前田っ!」
見覚えのある横断歩道を歩く前田を見つけた。
歩くペースはいつもより早くて、俯いてる彼女を。
名前を呼べば悲しそうな顔が、驚いた表情に変わっていった。
振り返ってくれた。