「離れるの禁止って、言ったよね……っ」



近くなった背中。

ぐいっと力任せにアイツの手首を引いた。



『っ、』


「なんで逃げるんだよっ!!」



無理やりこっちを見させて、少し驚いた顔をしたアイツの顔を見た。


じっとただ、真っ直ぐ。




『………嫌いって言ったじゃないですか』


「………っ、」


『………私だってたくさん迷惑かけたことくらい分かってます。

でも、好きです。大好きなんです。



だから、その………っ』



“傷付いた”

きっとそう言いたいんだろう。でも彼女は言わない。



…………迷惑とか、分かってんじゃん。

それでも好きとか、馬鹿だろお前。


口が悪いオレの精一杯の言葉はなかなか出なかった。





< 24 / 32 >

この作品をシェア

pagetop