「離れるの禁止って、言ったよね……っ」
近くなった背中。
ぐいっと力任せにアイツの手首を引いた。
『っ、』
「なんで逃げるんだよっ!!」
無理やりこっちを見させて、少し驚いた顔をしたアイツの顔を見た。
じっとただ、真っ直ぐ。
『………嫌いって言ったじゃないですか』
「………っ、」
『………私だってたくさん迷惑かけたことくらい分かってます。
でも、好きです。大好きなんです。
だから、その………っ』
“傷付いた”
きっとそう言いたいんだろう。でも彼女は言わない。
…………迷惑とか、分かってんじゃん。
それでも好きとか、馬鹿だろお前。
口が悪いオレの精一杯の言葉はなかなか出なかった。