両片想い
「希美ー!そんなところで何やってんの?」
春美が中から顔を出し、不思議そうに首をかしげる。
春美の手にはド派手なピンクのスカートがあった。
え、そんな服が好きなの…?
「希美ー?」
もう一度名前を呼ばれ、はっとする。
いけない、引いてるなんて思われたら困る。
あたしが「今行く」といい、ニコッと笑うと春美も笑ってうなずき、また店の中に戻っていった。
ダメだ。
入らないと。
息を深く吸い、息をふぅ〜っと吐き出すと一歩前に進んだ。
のどをごくりと鳴らすと、店の中に入っていった。
入った瞬間、独特な変なにおいがして、思わず鼻をつまみそうになる。
どっかのおばあちゃんちみたいなにおい…