両片想い
「そういえば希美、まだ裕ちゃんと話したことないよな。
話してみたら?
裕ちゃん、めっちゃおもしろいで」
千佳にそう言われて「う〜ん」と言いながらもコクリと頷いた。
それから次の日、教室に入り3人でワイワイ騒いでいた。
いつもみたいにテレビの話とかそんな話をして笑っている。
そんなとき、隣の席に2人が裕ちゃんと呼んでいる芹沢くんが座り、肩がピクリと跳ねた。
チラッと横を見ると、いつも通り机に肘をついてボーッとしている。
わー…鼻高っ…
「あ、裕ちゃんおはよ!」
「おはよー裕ちゃん!」
2人がそう声をかけると、芹沢くんはコクッと頷いて「おはよ」と低い声で言った。
初めて聞いた、芹沢くんの声。
髪の毛は無造作に跳ねていて、眠そうな顔をしている。
後ろのピョンと跳ねた髪の毛が気になって、触りたくなってしまう。
じっと見つめていると、芹沢くんがあたしの方を向いた。
じっと見つめられキョトンとしているあたし。
な、なんでしょう…
「さっきから俺ばっか見つめてなんなの?」
芹沢くんにそう言われ、ボンっと顔が赤くなる。
見つめてたのばれてた…!