両片想い
「…えっと、いや、特に別に用はないんだけど…」
あたしが目を逸らしてそう言うと芹沢くんは「あっそ」と言って前を向いた。
なんか、感じ悪くない…?
あたしって、嫌われてる!?
「希美〜。うちらトイレ行ってくるけど希美どうする?」
春美にそう言われて、「あたしは大丈夫」と言って断った。
芹沢くんと話すチャンスだと思ったから。
絶対あたしが都会の方がいいよねとか言うとノッてくれる!
田舎が嫌すぎて、こんなひねくれた感じになってるんだろう。
よし!
気合を入れて、芹沢くんに「あのさ」と声をかけた。
芹沢くんは、また怖い顔であたしの方を見てムスッとしている。
な、なんでそんなに怒ってんの!?
あたしなんかしましたか!?