両片想い




つばをゴクリと飲み、自分を励ます。


きっと共感してくれるさ!


仲良くなれるさ!



がんばれあたし!



…なんて。




「春美と千佳から聞いたけど芹沢くんって中学の頃に東京から引っ越してきたんでしょ?」



あたしがそう聞くと、さらにムスッとした顔になる。



「そうだけど」



声までもがムスッとしていた。



ち、千佳…


あたし、この人のおもしろさがわからないんだけど…



怯える心を落ち着かせて、さらに声をかける。



「あたしと一緒だね!
あたしも東京から引っ越してきたから!」



不気味なくらい、明るい声でそう言い、


不気味なくらい、ニコニコ笑った。




さあ、あんたも笑いなさい!



なんて心の中で叫びながら。




そうじゃないと、この怖い顔を見てられないんだもん…





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