【完】魅惑な藍の海の恋心色。
2日目
昨日たくさん話をしてくれた、芸妓の藤枝(ふじえだ)さんに連れられて
この国の伝統を目にする。
初めて目の前にした、歌舞伎というもの。
とても迫力のあるもので、生徒どころかわたし達先生までもが
その勢いに圧倒され、感激した。
……その間、わたしは一度も三木くんと話せてない。
今のところ、修学旅行は大成功。
大きな問題も、怪我もない。
なのに、沈んでいる自分がいるのが分かる。
会いたい。
体が、叫んでる。
心が、嘆いてる。
……三木くんと、話がしたい。
「っ……。」
歌舞伎に見入る三木くんの横顔を見つめながら、そんなことを思い、願った。
同じように自分を見る、2人の視線には気付かずに。