【完】魅惑な藍の海の恋心色。
それからあっという間に、時間は過ぎた。
「よし、これで大丈夫……かな?」
時刻はすっかり、夜の8時。
これから、修学旅行定番の肝試しが始まる。
わたしを含めた、先生の数人はお化け役で、各決められた場所で待機。
あとから来る男女ペアの生徒を驚かして
盛り上げるのが、今日のわたし達の役目だ。
これは毎年修学旅行の恒例なようで、
この肝試しをきっかけに、付き合うことになった生徒も少なくないらしい。
「っ、くしゅん。」
わたしは貞子役らしい。
あのお化けの貞子、テレビから出たり井戸から出たりの。
ちなみにわたしはそんなことしない。
まず野外ということもあって、ただ立ってるだけになった。
用意された無地の真っ白な着物を着たのはいいけれど……。
肝試し、といってもまだ6月。
夜にこの薄い着物1枚は、寒すぎる。
「うぅー……、やばい、風邪引いたかも……。」