【完】魅惑な藍の海の恋心色。
……それは。
「……せんせ?」
何もしゃべらないわたしに
不思議がった三木くんが、振り返った瞬間に起こった。
「え……? き、きゃあぁぁ!!」
「せんせいっ!?」
地面を踏んだ足がズボッと沈んで、そのままわたしの体は傾いた。
繋いでいた手は、ほんの一瞬で離れてしまう。
落ちる……!!
重力に逆らわない体。
そのまま落ちていく感覚に、フッと意識が薄れていく。
「っ、くそ……!!」
完全に意識が無くなる手前。
微かな視界に映ったのは
わたしが落ちた場所と、同じ場所から飛び降りて
わたしに、その大きな手を伸ばす。
大好きな人の顔だった。