【完】魅惑な藍の海の恋心色。
時間は朝の5時をすぎ。
空は徐々にと、赤みを帯びていってる。
「せんせい。」
旅館内にある自販機で、飲み物を買おうとしていたとき。
奥の通路から、三木くんが車椅子に乗ってやって来た。
「三木くん、それ……。」
「……足は動くんだけど、歩くのはさすがに無理っぽくて。結構痛いし。」
わたしの隣にまでやって来た三木くん。
お金を入れただけの自販機のボタンを、ポチッと。
出て来たのは、わたしの大好きなイチゴ牛乳。
「せんせーは、これでしょ?」
ストローを挿して、スッとその先を口元に向けられる。
おそるおそる、一口だけ飲む。
何だかいつもより、甘い気がした。