【完】魅惑な藍の海の恋心色。





――「せんせ、あれって鹿苑寺金閣?」



次の日……というより、その日の朝


わたしと三木くんは、2人で京都を回っていた。



「うん、そうだよ。三木くん、見たことないの?」



それもこれも、車椅子では、班のみんなの足手まといになるって

三木くんが言ったから。


班の子はみんな優しくて、

気にしないでいいって言ってくれたんだけど。



行く予定だったところは、どこも距離が遠い。


バスが必要になるところもあるからと、三木くんは断った。



本来、わたしがもっとあのとき、足元に気をつけていれば

三木くんだけでも、無事だったかもしれないのに……。



「オレ、修学旅行とか初めてなんだよね。今までの泊まり行事、全部休んでたから。」


「そう、なんだ……?」



しかも、何でかは分からないけど、三木くんにとって初めての旅行行事だったらしい。


もっと素敵な形で、思い出として残してあげたかったな……。





< 140 / 263 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop