【完】魅惑な藍の海の恋心色。
――「せんせ、あれって鹿苑寺金閣?」
次の日……というより、その日の朝
わたしと三木くんは、2人で京都を回っていた。
「うん、そうだよ。三木くん、見たことないの?」
それもこれも、車椅子では、班のみんなの足手まといになるって
三木くんが言ったから。
班の子はみんな優しくて、
気にしないでいいって言ってくれたんだけど。
行く予定だったところは、どこも距離が遠い。
バスが必要になるところもあるからと、三木くんは断った。
本来、わたしがもっとあのとき、足元に気をつけていれば
三木くんだけでも、無事だったかもしれないのに……。
「オレ、修学旅行とか初めてなんだよね。今までの泊まり行事、全部休んでたから。」
「そう、なんだ……?」
しかも、何でかは分からないけど、三木くんにとって初めての旅行行事だったらしい。
もっと素敵な形で、思い出として残してあげたかったな……。