【完】魅惑な藍の海の恋心色。
恥ずかしい……非常に、恥ずかしい。
「…………。」
そして、三木くんの視線が痛い。
「あの……。」
そろそろ、何か言ってくれないと緊張で倒れそう……。
「…………綺麗。」
数分前、着付けを終えたわたしと緒花さんは店の方に戻って来た。
そこでは既に、淡い深緑の着物を身に纏った三木くんが待っていて……。
目が合った途端、三木くんはわたしの姿を見てだんまり。
かれこれ、もう3分ぐらいはこの調子だった。
「ちょ、やば……何これ、着物の威力ハンパないんだけど……!」
顔を真っ赤にさせて、ようやく言葉を発してくれた三木くん。
〝綺麗〟
何の捩りも無いその言葉が、素直に嬉しかった。