【完】魅惑な藍の海の恋心色。
素早く買い物を終えて、
店の前で待つ三木くんに駆け寄る。
「もっと買えばいいのに。せっかくの旅行だよ?」
「……と言われても、旅行って初めてだし。何買えばいいのか、イマイチ分からないというか……。」
車椅子を押してるわたしからは、三木くんの表情は見えないから分からないけど
普段は中々見られない、その戸惑ってる様子は何だか可愛い。
変なところで不器用なんだから……。
「ね、三木くん!」
「ん?」
わたしは巾着から、今回のためにと用意したカメラを取り出す。
ちなみにこの巾着も、着物と同じレンタルさせってもらったんだ。
「写真、撮ろうよ!」
「写真?」
「思い出だよ! 今、わたしと三木くんが一緒に京都にいるという思い出!」
本音を言うと、わたしが三木くんとの写真が欲しいだけなんだけど……。