【完】魅惑な藍の海の恋心色。
帰りの新幹線
行きも帰りも、隣は智樹。
「岡辺先生、薬飲みました?」
「ええ。箱に書かれていた量の3倍は飲みました。」
え……そんなに飲んだの?
いくら幼馴染だといっても、仕事は仕事。
基本は一定の距離感を持つわたし達。
ガタン...
「あ、動きましたね。」
「…………。」
既に顔が青いよ、智樹。
この様子だと、またトイレにこもりそうだ。
……仕方ないなぁ。
「智樹、こっち座りなよ。」
自分が座っていた窓側の席を智樹に譲る。
「……いいのか? 藍、外見るの好きだろ……。」
「幼馴染が苦しむ姿、見る趣味はないからね。」
わたしがそういうと智樹は「さんきゅ」って
素直に御礼を言って席に座り、窓の外の景色を眺め始めた。
よっぽど苦しかったのかな……。