【完】魅惑な藍の海の恋心色。
食べたら、少しは落ち着くかな……?
残しておきたかった気持ちもあるけど、そんな勿体ないことは出来ない。
口に含めば、飴玉は名前通りの味をはじけだした。
甘い、わたしの好きな味。
「……!? 藍!?」
「うぅーっ、うぅううぅっ。」
「なんでおまえ泣いてんだよ!」
ぽろぽろとこぼれ落ちる涙。
なんでかなんて、わたしにも分からない。
「な、泣くなよー……。」
声からして、隣で智樹が焦ってるのは分かっていたけど。
涙は止めようとして、止められるほど
簡単には静まってくれなかった。
それぐらい、今口の中に広がるイチゴの飴玉は
甘くて、切なくて
わたしにより一層、三木くんを恋焦がらせた。