【完】魅惑な藍の海の恋心色。
奈緒さんは無言で、わたしの目を見つめてくる。
これまでに無いぐらい、バクバクとしてるわたしの心臓。
鋭い奈緒さんの視線に、息が止まりそうだ。
「……そう、よかったわ。」
しばらくして外れた、奈緒さんの視線。
「なら知っておいてほしいの、先生。」
知る……?
「海人(うみひと)の、生い立ちを……。」
「…………え?」
うみ、ひと……?
奈緒さんはさっきとは打って変わった、悲しい微笑みで
わたしを見た。
三木くん
わたしはあなたからもらったものが、たくさんある。
目には見えない、たくさんの気持ちを、あなたに教えてもらった。
なのに
わたしは何一つ、あなたの心の闇に気付いてあげられなかった。